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 自販機の前で黒目を左から右へと流す。佐野は光源に指を乗せ、気になる飲み物を購入する。佐野は500mlのボトルを左脇に挟み、小銭入れの中身を3秒ほど確認してからジッパーを閉める。ボトルが右手に渡る。20帖ほどの薄暗い休憩室を見渡し空席に向かって歩き出す。全4卓16席、窓際1卓に1人の女性が座っているだけだった。3卓の中で最も手前に位置する1卓を選び、腰を掛ける。ボトルキャップを捻る。飲み口を唇に当て、軽く顎を上げる。液体が食道を流れる音がした。2m先でスマートフォンを覗きこむ女性にこの音は聴こえない。佐野は15分ほど壁の奥にある何かを見詰めていた。
 我に返った時、ボトルの中身は半分ほどになっていた。後ろを振り返ると女性は消えている。佐野は中身を50%失ったボトルを手に取り、休憩室を後にする。座っているそれをテーブルに潜り込ませた記憶は残っていない。
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